平成23年度の登録販売者試験の問題を眺めてみますと、第4章「薬事関係法規・制度」の難易度が上がったように感じます。前後の関係から正答を導きだすことが可能であるとはいえ、真正面から取り組めばなかなかに難問。たとえば、次の問題の正誤はわかりますか?
問41のb〈H23千葉、埼玉、神奈川〉
医薬品の販売業の許可を受けないで、業として医薬品を販売又は授与した者は、薬事法第85条第1号の規定により「2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」こととされている。
⇒ 正解は、誤。
薬事法第24条第1項において、「薬局開設者又は医薬品の販売業の許可を受けた者でなければ、業として、医薬品を販売等してはならない」と規定されている。本規定に違反した者については、薬事法第84条第5号において、「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」こととされている。
とはいえ、これは薬事法の罰則のいわゆる相場を知っている人でないと手に負えない。
問44のa〈H23千葉、埼玉、神奈川〉
配置販売業の許可は、薬事法の規定に基づき一般用医薬品を配置しようとする区域が保健所を設置する市の区域の場合は、その市長が与えることとされている。
⇒ 正解は、誤。
配置販売業の活動範囲は一の市内に限定されないため、許可権限を保健所を設置する市又は特別区の長に移譲することは妥当でないとの認識の下、店舗販売業とは異なり、配置販売業の許可権者を都道府県知事に限っている。配置しようとする区域が保健所を設置する市又は特別区の区域にある場合であっても、市長又は区長への権限委譲は行われない。
このように許可権者の決定趣旨を知っている人でないと難しい。
問49のa〈H23千葉、埼玉、神奈川〉
薬事法第14条第1項
医薬品(( a )が基準を定めて指定する医薬品及び第23条の2第1項の規定により指定する体外診断用医薬品を除く。)、医薬部外品(( a )が基準を定めて指定する医薬部外品を除く。)、( a )の指定する成分を含有する化粧品又は医療機器(一般医療機器及び同項の規定により指定する管理医療機器を除く。)の製造販売をしようとする者は、(b 品目)ごとにその製造販売についての( a )の(c 承認)を受けなければならない。
⇒ 正解は、「厚生労働大臣」ですが、その意味は次のとおり。
●「厚生労働大臣が基準を定めて指定する医薬品」は、日本薬局方収載品目のうち、平成6年厚生省告示第104号により指定された112の医薬品を指す。
●「厚生労働大臣が基準を定めて指定する医薬部外品」として、平成9年厚生省告示により清浄綿が指定されている。
●「厚生労働大臣の指定する成分」は、平成12年厚生省告示第332号のより、法第61条第4号の名称の記載を省略しようとする成分(非開示成分)を指す。
問81の穴うめ〈H23富山、石川、岐阜、三重、愛知、静岡〉
薬事法第1条
この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の品質、有効性及び安全性の確保のために必要な規制を行うとともに、( a )の規制に関する措置を講ずるほか、( b )上特にその必要性が高い医薬品及び医療機器の( c )の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的とする。
⇒ 正解は、「a 指定薬物」、「b 医療」、「c 研究開発」ですが、その意味は次のとおり。
● 「a 指定薬物」
薬事法は、人によって乱用されることを目的として製造又は輸入され、販売されるものを指定薬物に指定し、これに必要な規制を加えることにより、有害な不正薬物から国民の身体を守ることを目的としている。本来、有害な不正薬物の取締りは、麻薬及び向精神薬取締法や覚せい剤取締法等が担っていたが、平成19年の改正により、薬事法の目的の中に、指定薬物の規制が新たに加えられた。それは、次のような理由による。
合法ドラッグ、脱法ドラッグ等と呼ばれる乱用薬物と、麻薬や覚せい剤等との間には大きな違いがある。乱用薬物は、芳香剤、防臭剤もしくはビデオクリーナー等といった一般的な日用雑貨品という名目で販売されているが、一方で麻薬や覚せい剤等は明らかに精神的な陶酔、興奮、麻酔、幻覚等の作用を持つ薬物であり、そのような作用を目的として流通している。
麻薬及び向精神薬取締法等では、その薬物が陶酔等の薬理作用を持っていることを確認した上で規制対象としており、新しい薬物が出回った場合も同様に、その薬理作用を確認した上で規制の対象にしている。そして麻薬等に指定されると、製造販売はもちろん、所持していること自体にも厳しい規制が課せられることになる。
しかし、麻薬及び向精神薬取締法等によりその薬物を規制するためには、問題となる薬理作用が本当にあるのかどうかを確認する必要があるので時間がかかり、その間は乱用薬物の蔓延に対して有効な対策を打ち出すが難しい。
そこで、薬事法が不正薬物の目的規制の部分を受け持つことにより、その『物』が実際に陶酔等の作用をもっているかどうかは別として、陶酔等の『目的』で使用されていれば、その乱用薬物を「指定薬物」に指定し、即座に有効な対策を打つことができるようになったのである。
● 「b 医療」、「c 研究開発」
医薬品や医療機器は、疾病の治療に重要な役割を果たしているが、これらの開発は国ではなく、民間の会社が主体となって行っている。したがって、国民保健の観点から必要といえる医薬品又は医療機器の迅速な供給を図るためには、国が新医薬品等の申請を待つという姿勢だけでは不十分といえ、それらの研究開発の支援及び審査の迅速化という措置を通じて、新医薬品等の開発を促進することが求められる。
そこで、医療上特にその必要性が高いと思われる新医薬品等の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることとし、薬事法には、研究開発の促進という産業育成的な目的が付加されている。具体的には、希少疾病用医薬品及び希少疾病用医療機器の指定等の事項が薬事法により規定されている。
なお、医薬部外品及び化粧品は、疾病の治療に不可欠の役割を果たす性格のものではないため、薬事法による研究開発の促進の対象とはなっていない。

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